「とりあえずバイエルから始めましょう」
ピアノ教室の初日に先生から渡された教則本を見て、ちょっとがっかりした人は多いはず。
自分が「弾きたい」と思って始めたのは、たぶんジブリの曲とか、映画音楽とか、好きなアーティストの曲だったはず。バイエルの「ドレミファソファミレド」じゃないですよね。
ピアノ弾きたい曲大人と検索する人は、たぶんこの感覚を持っています。教則本も大事だけど、それと並行して「自分が好きな曲」を弾きたい。半年も1年も待ちたくない。
この記事では、大人初心者が1ヶ月以内に弾けて、しかも「弾けた!」という達成感がしっかりある名曲を10曲選びました。難易度と達成感のバランスがいい曲だけを厳選しています。
結論——「短い・知ってる・カッコいい」の3条件を満たす曲を選ぶ
ピアノ弾きたい曲大人を1ヶ月で弾くためには、選曲が9割です。
選び方の条件は3つ。
- 短い(1〜2分で1コーラスが完結する)
- 知っている(メロディがすでに頭にある)
- 弾けるとカッコいい(人に聴かせたくなる)
この3つを満たさない曲を1曲目に選ぶと、1ヶ月で挫折します。逆にこの3条件を満たす曲なら、独学でも1ヶ月で人前で弾けるレベルになります。
以下、難易度の低い順に10曲。すべて「初心者向け簡単アレンジ版」の楽譜が存在する曲です。
レベル1:超初心者向け(1〜2週間で形になる)
1. ベートーヴェン「歓喜の歌」(第九)
第九の有名なメロディです。年末になると合唱で聴くあの曲。
右手のメロディだけなら、白鍵だけで弾けます。シャープもフラットもなし。左手はド・ソ・ミ・ソの繰り返しなので、3日で覚えられる。
「知っている曲を弾いた」感覚を、最短距離で味わいたい人の1曲目に最適です。楽譜は『大人のためのピアノ悠々塾』や『はじめてのクラシック』に必ず収録されています。
年末に弾けるようになっていると、家族で聴く楽しみも増えます。
2. メリーポピンズ「チム・チム・チェリー」
ディズニーの古典で、メロディが短くて単純な3拍子。
右手のメロディは1オクターブ内で動くので、手を大きく動かす必要がない。左手はコード3つ(C・G・Am)の繰り返し。
「ディズニーが弾ける」という事実が、家族や友人に披露したときの満足度を上げます。楽譜は『ディズニーピアノ・ソロ入門』など多数あり。
3. パッヘルベル「カノン」(簡単アレンジ版)
結婚式の定番曲。原曲のカノンは難易度が高いですが、初心者向け簡単アレンジ版は1週間で形になります。
コード進行が「D-A-Bm-F#m-G-D-G-A」の繰り返しで、これが体に染み込むと他の曲にも応用できる。「カノン進行」と呼ばれて、J-POPでも頻繁に使われるパターンです。
これを弾けるようになると、他のJ-POPの簡単アレンジが一気に視野に入ります。
レベル2:初心者向け(2〜3週間で形になる)
4. ベートーヴェン「エリーゼのために」冒頭
ピアノ初心者の登竜門。冒頭の有名な部分だけなら、独学でも3週間で形になります。
右手の「ミ・レ#・ミ・レ#・ミ・シ・レ・ド・ラ」のメロディが頭にすでに入っているので、譜読みが楽。左手はシンプルなアルペジオ(コードをばらして弾く)です。
ただし、全曲を弾こうとすると中盤からの「ダー、ダー、ダーン」の部分が難しい。冒頭の1〜2分だけ完成させて、そこで満足するのが大人初心者向けの正解です。
「エリーゼのために弾けるよ」と言える状態になると、それだけで大人ピアノの世界で一段格が上がります。
5. 「きよしこの夜」
クリスマスの定番曲。3拍子で、右手のメロディが穏やか。左手も3拍子のコード奏だけ。
12月にこれが弾ければ、家族で集まる場面で必ず使えます。「ピアノやってるんだ」を一発で証明できる曲。楽譜は『クリスマスピアノ曲集』や、無料楽譜サイトでも多数。
6. 久石譲「人生のメリーゴーランド」(簡単アレンジ)
ジブリ映画『ハウルの動く城』のテーマ曲。原曲は中級レベルですが、簡単アレンジ版が市販されています。
メロディが美しく、ゆっくりなテンポで弾けるので、初心者でも雰囲気が出やすい。3拍子のワルツで、左手はコードの繰り返し。
「ジブリが弾ける」というのは、大人ピアノで最も実用性の高いスキルかもしれません。家族・友人ウケが圧倒的に良い。
音大出身者としての視点
入れたい一次情報の候補:
– 音大同期での観察
– 自身の体験
– 講師目線での実例
レベル3:少し挑戦(3〜4週間で形になる)
7. サティ「ジムノペディ第1番」
大人ピアノの永遠の名曲。テンポがゆっくりで、技術的にはそこまで難しくない。1ヶ月あれば冒頭の1分は確実に弾けるようになります。
ただし、ペダルの使い方で雰囲気が決まる曲なので、ペダル付きの電子ピアノ(最低でも単体ペダル)が必要です。
ジムノペディが弾けると、大人の趣味として「ピアノ弾けます」と言える資格が一段上がります。カフェBGMの王道で、聴いた人の99%が「あ、あの曲」と気づくところも強い。
8. 久石譲「Summer」(簡単アレンジ)
映画『菊次郎の夏』のテーマ曲。明るくてキャッチーで、聴いた人がすぐ「あ、あの曲」と気づく。
簡単アレンジ版だと、右手のメロディが歌いやすく、左手は4分音符のシンプルなコード奏。1ヶ月でだいぶ形になります。
ただし、テンポを上げると左手の動きが追いつかなくなりがち。ゆっくり目で弾くのがコツ。
9. 「ハナミズキ」(一青窈/簡単アレンジ)
J-POPから1曲。一青窈のハナミズキは、メロディが穏やかでテンポも遅め、コード進行もシンプル。
「J-POPが弾ける」というのは、家族や友人ウケで最強です。クラシックや映画音楽より親しみがあって、聴いてくれる人も多い。
楽譜は『大人のためのピアノJ-POP』『簡単J-POPピアノ』など、月刊誌や曲集で入手可能。
10. ショパン「ノクターン第20番(遺作)」
最後にちょっと挑戦的な1曲。ショパンの「遺作」と呼ばれるノクターン、嬰ハ短調Op.posth.です。
有名な第2番(Op.9-2)より、こちらの第20番のほうが大人初心者には弾きやすい。冒頭のメロディが歌いやすく、左手のアルペジオもパターン化されている。
3〜4週間集中して練習すれば、冒頭の主題部分(最初の30秒〜1分)は弾けるようになります。「ショパンが弾けた」という体験は、大人ピアノの大きな到達点です。
「映画ピアニスト」「めぐりあう時間たち」など、映画でも使われている名曲なので、聴き馴染みがある人も多いはず。
選んだ曲を1ヶ月で完成させる練習計画
選曲が終わったら、次は練習計画です。1曲を1ヶ月で完成させるための、現実的なスケジュールを書きます。
1週目:譜読みと片手練習
最初の1週間でやることは、楽譜に慣れることと、右手・左手それぞれを単独で弾けるようにすること。
- 1日目:楽譜全体に目を通す。曲を音源で聴いて頭に入れる
- 2〜4日目:右手だけで、ゆっくりテンポで弾く
- 5〜7日目:左手だけで、ゆっくりテンポで弾く
両手で合わせる前に、各手が単独で完璧に弾けるようにする。ここを飛ばすと、両手で必ず崩れます。
2週目:両手を半分のテンポで合わせる
2週目は、両手を合わせる週です。原曲テンポの半分以下で。
- 8〜10日目:4小節ずつ両手で合わせる
- 11〜13日目:8小節ずつ繋げる
- 14日目:通しでゆっくり弾く
この時点でテンポ通りに弾く必要はありません。「ゆっくりなら通せる」状態を作るのが目標。
3週目:テンポを徐々に上げる
3週目は、メトロノームを使ってテンポを徐々に上げます。
半分のテンポで弾けたら、5刻みでメトロノームを上げていく。たとえば60→65→70→75と。途中で崩れたら、必ず1段階下に戻ってください。
3週目の終わりには、原曲の8割のテンポで弾けるようになっているはずです。
4週目:仕上げと表現
最終週は、原曲テンポで弾けるようにすることと、表現を入れることに集中します。
- 強弱(フォルテとピアノ)をつける
- テンポの揺れ(ルバート)を意識する
- ペダルを入れる(ペダル指示がある曲)
- 通しで何度も弾いて、暗譜に近づける
最後の1週間は、技術より「自分なりにどう弾くか」を考える時間です。録音して、聴き返して、もう一度弾く。これを繰り返すと、曲が自分のものになっていきます。
楽譜はどこで手に入れるか
ピアノ弾きたい曲大人で挙げた10曲は、すべて簡単アレンジ版の楽譜が存在します。入手先を整理します。
方法1:紙の楽譜(書店・Amazon)
『大人のためのピアノ悠々塾』『はじめてのクラシック』『ジブリピアノ・ソロ入門』など、初心者向けの曲集が多数あります。1冊1,500〜2,500円程度。
複数曲が入っていてコスパが良いので、1冊買っておくと半年は楽しめます。
方法2:単曲ダウンロード(ぷりんと楽譜・ヤマハぷりんと)
「ぷりんと楽譜」「ヤマハぷりんと楽譜」などのサイトで、1曲ずつダウンロードできます。1曲400〜600円。
単曲で買えるので、「とりあえずこの1曲だけ」が手軽。難易度も「初級」「中級」と明記されているので選びやすい。
方法3:YouTube+耳コピ(中上級者向け)
YouTubeにはピアノチュートリアル動画が大量にあります。「曲名 ピアノ 簡単」で検索すれば、初心者向け解説動画が見つかる。
ただし、楽譜なしで動画だけで弾けるようになるには、ある程度の譜読み経験が必要です。完全初心者には先に紙の楽譜をおすすめします。
方法4:無料楽譜サイト(IMSLP等)
クラシック曲なら、IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)で著作権切れの楽譜が無料で手に入ります。
ただし、これらは原曲版なので、難易度が高い場合があります。簡単アレンジ版が欲しい場合は、市販の楽譜のほうが確実です。
音大出身者としての視点
よくある質問
Q. これら10曲を全部1ヶ月で弾けるようになりますか?
いえ、1曲だけ選んでください。
「1ヶ月で1曲」が現実的な目標です。10曲全部を同時並行で練習すると、どれも中途半端で挫折します。
1曲を1ヶ月で形にして、達成感を味わって、次の月にもう1曲、というペース。これが続けるコツです。
Q. 楽譜が全く読めなくても弾けますか?
半分は弾けます。
YouTubeチュートリアル+鍵盤の色シールを使えば、楽譜が読めなくても弾く真似はできます。ただし、楽譜の代わりに「鍵盤の位置を覚える」作業が必要になるので、楽譜を読めるようになったほうが結果的に楽です。
譜読みのコツは 大人が楽譜を読めないままピアノを始めて大丈夫? で書いています。
Q. 左手が動かなくて、両手で弾けません
最初の3〜6ヶ月は誰でもそうです。
対処は ピアノで左手が動かない原因と練習 で書いていますが、最初は右手だけ完成させて、後から左手を足す順番でやってください。最初から両手で弾こうとすると挫折します。
Q. これらの曲は、教室で先生に「弾きたい」と言っていいですか?
もちろんいいです。むしろ言ってください。
先生に「今やっている教則本と並行して、好きな曲も1曲やりたいんですが」と相談すれば、レベルに合わせて選曲してくれます。良い先生ほど、生徒の「弾きたい曲」を大切にします。
Q. 1ヶ月で形にならなかったら、どうしたらいいですか?
もう1ヶ月、その曲を続けてください。
「1ヶ月で完璧に弾けるようになる」が目標ではないです。「1ヶ月で『なんとか形になる』ところまでいく」がリアルな目標。それでも届かないなら、選曲が自分のレベルより上だった可能性があります。
難易度を1段階下げた曲に切り替えるのも、賢い選択です。
まとめ:1曲決めて、1ヶ月で形にする
ピアノ弾きたい曲大人を1ヶ月で弾くコツは、シンプルです。
- 1曲だけ選ぶ(10曲同時はNG)
- 「短い・知ってる・カッコいい」を満たす曲を選ぶ
- 簡単アレンジ版の楽譜を買う
- 毎日10〜20分、その曲だけ練習する
教則本だけだと、大人は半年で飽きます。それと並行して「好きな曲」を弾く時間を作ること。これが大人ピアノを続ける最大の秘訣です。
1曲弾けたら次の1曲、というペースで進めば、1年で12曲のレパートリーができます。これは大人の趣味として、相当豊かな世界です。
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